その時、ドラえもんは、まだ家でのび太の帰りを待っていた。
しかし、のび太は帰ってこない。
「ただごとじゃないよ、こりゃ」と不安になったドラえもんは、再び外へのび太を探しに行った。
すると……空き地に、ボロボロになりながらジャイアンと戦っているのび太の姿があった。
のび太は帰ろうとするジャイアンをしつこくつねっている。
「いてて、やめろってば。悪かったおれの負けだ。許せ」
ジャイアンは逃げ帰った。
ドラえもんは、のび太にかけよった。
のび太は全身アザだらけの姿でドラえもんに言う。
「勝ったよ、ぼく」
のび太は、ドラえもんの肩に抱かれながら言った。
「見たろ、ドラえもん。勝ったんだよ。ぼくひとりで。もう安心して帰れるだろドラえもん」
家に帰り、布団に入って寝るのび太。そしてその寝顔を、涙を流しながら見つめるドラえもん。
翌朝、のび太が目を覚ますと、すでにそこにはもうドラえもんの姿は無かった。
ママ「ドラちゃんは帰ったの?」
のび太「うん」
ガランとしてしまった自分の部屋で独り、座りながらのび太はつぶやく。
「ドラえもん きみが帰ったら部屋ががらんとしちゃったよ。でも……
すぐになれると思う。だから………心配するなよドラえもん」
--完