「こうなったら、きさまらをみな殺しに……」
と男が言った瞬間、タイムパトロールがやってきて、バズン!と銃でこの男をやっつけた。
そして観光客は皆帰り、ようやくのび太の家は静かになった。
「やっとしずかになったよ」とドラえもん。
「時間観光旅行なんてめいわくだァ。なんとかしろ」とのび太。するとその時、セワシがのび太の机の中からやってきた。
「それはもう心配いらないよ」と言う。
セワシの話によると、「時間旅行きせい法」という法律が、未来の世界で決まったらしい。さっきの観光客のようにタイムマシンで旅行する人がふえてきて、昔の人に迷惑をかけることが多くなったので、今後一切の時間旅行が禁止されることになったのだ。もちろん、ドラえもんも未来の世界に帰らなければならない。
「そ、そんな!! いやだ! ぼくは帰さないぞ!!」と叫ぶのび太。
それに対し、ドラえもんは
「男だろ!これからはひとりでやってくんだ。きみならやれる!!」
と励ました。
ドラえもん「ぼくが来たころからみると、ずっとましになっているからね」
セワシ「そう、元気になったし、からだも強くなった。頭もすこーしよくなった。」
するとその時、のび太の机の引き出しからプオ〜、プオ〜という音が鳴り響いた。ひきあげの合図だ。
「いそがないと」とセワシ。
「じゃ…。」とガッチリ握手するドラえもんとのび太。
ドラえもんはセワシに連れられ、机の引き出しの中に入ると泣き叫んだ。
「いやだァ。のび太くんとわかれるのいやだあ」
「ドラえもん!!」
セワシとドラえもんは、机の引き出しの中に消えていった。
のび太は机の引き出しをながめながら、「ドラえもん…」とつぶやく。
ラスト、のび太のモノローグ。
「つくえの引き出しは、ただの引き出しにもどりました。でも……、ぼくは開けるたびにドラえもんを思い出すのです。」