(※)口に出してはいけない
H県N・E
呪いに関する都市伝説になります。いわゆる呪い返しや祟り等が怖い方はこれより閲覧しないで下さい。
それは私が勤務していた精神科で目の当たりにした出来事です。
その人が緊急搬送された時からずっと、長年勤務している私ですら何か様子が変だなという印象を受けました。
何かが異常でした。その人を取り巻く環境というか生い立ちに到るまで。中でも身元引受人であるただ一人のご家族の方にある違和感を覚えた事を私は忘れません。
そうです。その患者さんにはたった一人しかご家族がおられませんでした。奇妙な事に緊急搬送されたにも関わらず、その患者さんはご家族である長髪の男性が来られるや否や、まるで別人の様に様変わりするのです。
普段は隔離された何もない病室の中で、ずっと髪を抜いているのです。私が当直の日になぜ髪をむしるのか尋ねたところ、その患者さんは意外にも無邪気な表情を浮かべ、【呪い】と言って笑みを浮かべました。
私は程なくしてその病院を退職する事になりましたが、ある時人づてに聞いた話によると、その患者さんは退院されたと同時に失踪され、家族と名乗る男性はその後、あの患者さんと同じ病室に居るのだと聞いて驚きました。
あの患者さんよりもむしろ、その男性にきっと何かある。固く私はそう信じていました。その男性のもう一つ顔、と言うべきでしょうか。どこか面会に来る家族である事から何もかも演じてる、というふうな第一印象でしたので。何よりもあのどんよりとしたと言うより死んだ魚そのものの様なあの目が、彼女を狂わせたのではないか。生きる怨霊、失礼ながらそうとしか他に例えようのない男性であった事は確かです。失踪された女性患者さんが気がかりです。
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